体調が安定してくると、ユキの自我が少しずつ見えはじめました。

「トイレはベッドの上ではしたくないのよ!」
そう言わんばかりに、ニジリニジリと後ろに下がってベッドからお尻が出ると、用足しをする。
後ろに下がれるけれど、前に出られないユキは「はあはあ」言いながらひたすら私を見る。
お尻が濡れるのがいやだったのです。

それに気づかない私はb0008217_17295449.jpg
「あらぁ、ユキ~♪、お目目覚めたのぉ。元気だねぇ。良い仔だねぇ。
今日のおやつは何にしようかねぇ」
それでもユキは、ひたすらハアハア。
のうてんきな母さんは、おやつの催促だとばかり思っていました。

すると、見かねたサニーが走ってきて鼻チョンの合図。
鼻チョン→ユキのお尻、を繰り返してユキの排泄を教えてくれたのです。
なんと賢い!(超親ばかです)

ようやく、ペットシートが交換され、お尻がきれいになると、
ユキは「ふ~~~~~、やれやれ」とふか~いため息。
サニーは「かあさん、グッドグッド」とばかり顔をなめてくれる。

それからおもむろに、サニーはユキに鼻チョンをして傍らにダウン。
「人間ってホントに言葉が通じないんだから不便だよねぇ」
二人の会話が聞こえてくるような、永遠に続けと心から願う楽しい日々です
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# by yukiba20 | 2004-09-07 17:33 | 盲導犬 引退犬 ボランティア | Comments(2)

介護の日々

b0008217_029932.jpgユキ
お口も、お鼻も苦しいね
こんなになるまで
いっぱい、いっぱい
がまんしていたんだね
もう、がまんしなくていいから・・・
「くるしいよォ、いたいよォ」って
鳴いていいんだからね

当初のメモにこう書いてある。
ユキを引き取ったときの状態は、それくらい苦しげだったのです。

抱きしめても、抱きしめても
うでの中をすり抜けていく
そんな気がする不安な夜
かみさま、
どうぞ、もう少しだけ
ユキを私のそばにいさせてください。
もう少しユキと話していたいから

夜間、呼吸困難を起したときは神にもすがる思いでした。
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# by yukiba20 | 2004-09-05 00:28 | 盲導犬 引退犬 ボランティア | Comments(2)

介護のポイント

まず、主治医に全身の診察をしてもらって、呼吸を楽にするための投薬を始め、同時に当面の注意事項を聞き介護を三つのポイントにしぼりました。

第1に、床ずれを起こさせない。b0008217_17382886.jpg
最も大切なことは、床ずれを起こさないようにすること。
床ずれを起こしてウジがわくようになったら、苦しいだけだから安楽死を考えなければいけなくなると言われたのです。

第2に、室温の調整。
これは、26度くらいが良いと言われたのですが、ユキの場合は26度でも苦しがり、25度ないし24度でようやく眠りにつくという状態でした。
しかも、24時間体制。出力の小さなエアコンではノンストップでフル回転。
電気代が見る見るはねあがっていくと同時に故障が心配でした。
息子の提案を受け、急遽出力が大きく、脱臭能力のあるエアコンに買い替えたのです。

第3に、下痢をさせない。
下痢をすると、脱水症状を併発すると共に体力が急激に低下します。
しかし、美味しいものを食べさせてやりたいと、
様子を見ながら徐々に食事内容に変化をつけていきました。

そして、最期に「自分だったらこうしてほしい」をプラスしたのです。
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# by yukiba20 | 2004-09-03 17:37 | 盲導犬 引退犬 ボランティア | Comments(2)

よく聞かれること

b0008217_19143391.jpg「なぜ、ユキを引き取ったのですか?」

それは、その時、そこにいたのがユキだったからです。

サニーが来る数日前、その頃はサニーが家族になるなんて夢にも思っていなかったのですが、訓練所に、ようやく立てるくらいのほぼ寝たきりの17歳になる引退犬が引き取られた、と聞かされました。
それがユキだったのです。

以前に、病気を抱えて引退した仔が施設の片隅でその生涯を終えなければならなかったことを知っていた私は、何とか引き取り手はないものかと聞いたのですが、そこまでの状態の仔が引き取られることはまずないとのことでした。
その時点でまだ仕事をしていた私には、ユキを引き取るなんてことは無理でしたが
「私が、仕事をやめた時にユキが生きていたら、それはうちへ来たいと思って頑張ったんだから引き取ろう」
そう決心したのです。
それから半年後、ユキは我が家の家族になったのです。

サニーは、あれよあれよと言う間に家族になり、
ユキは待って待って家族になりました。

縁あって集いあったもの同士、労わりあっての暮らしが始まったのです。
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# by yukiba20 | 2004-09-01 19:18 | 盲導犬 引退犬 ボランティア | Comments(2)

続・協力お願いの発信

協力お願いの発信は、知り合いのボランティアグループ・友人・知人、そして盲導犬使用者に向けて送りました。
b0008217_13571296.jpg
「ユキの、絶え間なく流れ出る鼻汁を受けるために沢山のタオルが必要です。
洗濯が追いつかないので使い捨てにしたいと思いますから、古いものの方がありがたいです。
必要なものは、バスタオル・フェイスタオル・タオルシーツです」

今まで、使用者に向けての発信は、ほとんど無いと言うことでしたが、自分達のパートナーのことを思えばきっと協力してもらえると思ったのです。

発信した翌日に届いた第1便は、友人のアイメイト使用者からでした。
ライトハウスはもちろん、関西盲導犬協会の使用者からも続々と届いたのです。
ボランティアグループ・友人・知人からも届いたことは言うまでもありません。
それは、今も絶えることなく続いています。
本当にありがたいことです。

何より嬉しかったのは、使用者もボランティアも口コミで聞いたと施設の枠を超えて協力してくださったことです。
しかも、その枠を超えた中には職員の方までいらっしゃったのです。

私の、負担が大きく軽減されました。

そしてその頃から、ユキを気遣うメールが届くようになりました。
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# by yukiba20 | 2004-08-30 13:56 | 盲導犬 引退犬 ボランティア | Comments(4)

協力お願いの発信

ユキは、重症の歯槽膿漏でした。
麻酔をかけて根治手術ができない今は対症療法のみです。
主治医と相談しながらの投薬で、来たときの鼻の腫れはひき、悪臭は治まりました。
けれども、引き取る前にいちかばちかでなされた抜歯のあとが上あごから鼻に向かって穴となって残ってしまったのです。
では、抜かなかった方が良かったのかというと、そうではありません。
抜かなかったらユキはもっと苦しんだでしょう。

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鼻や口から絶え間なく流れ出る、膿状の鼻汁を受けるために顔の下に敷いたタオルはしょっちゅう変えなければなりません。
1日の洗濯量は干すところもないくらいの量になりました。

当初の洗濯量は、1日量、タオルケット1枚・バスタオル15、6枚・フェイスタオルは20枚を越えていました。

梅雨に入り、途方にくれた私は、鼻汁で汚れた分だけを使い捨てる決心をしたのです。
そうなると、タオルは自宅にプールしておいたものだけでは、あっという間になくなってしまいます。
そこで、「SOS 協力依頼」を発信したのです。
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# by yukiba20 | 2004-08-28 12:24 | 盲導犬 引退犬 ボランティア | Comments(4)

問題の「経済力」

b0008217_14404847.jpg今まで、3頭の犬を見送った経験から、老犬を看取っていくにはある程度の費用は必要だとわかっていました。
「どれくらいの経済負担があるか」と聞かれたら「千差万別です」としか言いようがない。
その仔たちとどのように暮らしたいか、が人によって違うからです。

他人は実に無責任である。
「頑張ってきたんだから、これからは美味しいもの食べさせてもらい」
病気などがあった場合は
「延命治療なんか止めてとにかく楽に、苦しまないようにね。」

美味しいものを食べさせるのも、苦しまないようにするのもお金がかかるのです。
これらの費用は全て、今のところ(施設によって違いますが)預かった側の負担です。
もちろん、ドッグフードだけでも良いし、病院なんか連れて行かなくても良いのかもしれない。
でも、私は美味しいものを食べさせてやりたいし、苦しまなくても良い程度に治療もしてやりたい。
暑さは苦しいから、エアコンかけて気持ちよく過ごさせたい。
だから、どうしても引退犬を預かっていきたかった私は、2年間働いてお金をためたのです。

このように書くと、早とちりの人は
「うちみたいなお金のないとこは、やっぱり預かれんわ」
と、思われるでしょう。

そうではないのです!
これは、私がしたいからしたのであって、他人は他人。
あとは、心意気!
「貧乏で何もしてやれないけれど、絶対、死ぬまで一緒にいてやるねん!」
それだっていいじゃないですか。
常に人と寄り添ってきた仔ですもの、お金があっても一人ぼっちで放っておかれるよりずっとずっといいと思うのです。

そこまでする必要があるのか、と聞かれれば「それは、私がそうしたかったから」と答えるより仕方がありません。
人さまに勧めるものでも、強要するものでもありません。

でも、何もしなくても、自分ひとりではどうにもできないことが出てきたのです。
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# by yukiba20 | 2004-08-26 14:44 | 盲導犬 引退犬 ボランティア | Comments(3)
b0008217_0132717.jpg先に書いたように私は運転ができません。
ユキが来ても、何かあったらどうしようかとそればかりが気になっていました。

そんな不安を吹き飛ばして下さったのが、私も所属しているボランティアグループのスタッフの皆さんでした。

「車を出すことなんかお安いご用よ」

私の最大の悩みを、いとも簡単に吹き飛ばして下さったのです。
そして、それから時折「どうしてる?」と訪ねてくださるようになりました。
これは、パピーウォーカーさんとは違って、ともすると孤独になりがちな引退犬ボランティアにとっては、預かった犬の情報を共有できる貴重な仲間の登場なのです。

ユキは施設で世話をして下さった方たちを、サニーは一緒に来てくれるワンコを、私は心置きなくユキのことを相談できる仲間を楽しみに待つようになりました。

ほんの少しずつ力を貸してもらうことで、それが集まって大きな力になって、私にとっては心のゆとりになっていきました。
これが、後に「応援お願い」を発信していく元になったのです。

世間では、「かわいそうな犬」を預かっている「たいへんな」「つらい」ボランティアと思われがちです。
でも、そんなことはありません。
少なくとも私は決して「たいへん」でも「つらい」でもなく、「楽しく」「しあわせ」に犬達と暮らしています。

サニーが来たとき、暖かくて大きな「輪」を持って来てくれました。
ユキも我が家に暖かくて大きな「輪」を持って来てくれました。
その輪が重なり合ってさらに大きくなっていったのです。
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# by yukiba20 | 2004-08-24 00:13 | 盲導犬 引退犬 ボランティア | Comments(5)

ユキが信頼してくれた!

b0008217_0222625.jpg眠っていても
はっと目をさまし、人影を追う
ユキ、もう独りじゃないよ
安心してお眠り

そのようなユキの様子を見ていると、施設にいたときはどんなにか寂しかったことだろうと胸が痛む。
口中に問題を抱え、そのために副鼻腔に鼻汁が溜まり、時折呼吸困難に陥ることがある。
それも夜中がほとんど。
エアコンを最強にして窓を開け空気の流通を良くし、呼吸が楽な姿勢で治まるまで抱いている。
施設でも夜中にこのようなことがあったのではないかと思うと、ユキの不安と苦しさは如何ばかりであったろうかと胸が締めつけられる。

ところが、それ以降のユキに大きな変化が見えたのです。
それまでは、何をしても嫌がりはしないけれども体を預けることはなかったのにその日を境に、どさっと体を預けてくれるようになりました。
そうなると、あとはもう甘えっ子になってしまい、目覚めていれば必ず、私の影を追うようになった。
彼女は白内障で物をはっきりとみさだめることができないし、耳も遠く声を聞き取ることも苦手なので、私は居場所を知らせるように大きく手を振りました。

真夜中
パソコンのむこう
ユキがみつめる
じっとみつめる
「母さん、ここにいるからね~」
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# by yukiba20 | 2004-08-22 00:21 | 盲導犬 引退犬 ボランティア | Comments(8)

サニーが一番だからね

b0008217_10115162.jpg
我が家の長女(?)サニーは、某協会のキャリアチェンジ犬です。
2年前の8月に13年間、私の「苦」の部分を支え続けてくれたリョウスケ(甲斐犬)を亡くして腑抜けのようになっていた我が家に、その年も押し詰まった12月29日にやってきました。
30年このかた犬のいないお正月を迎えたことのなかった私達は、思いがけないプレゼントに有頂天になったものです。
しかも、怖がりという点を除けば優しく穏やかで賢い。(すみません、親バカです)

彼女が来て半年後にユキが来ました。
私達家族は、争うことをしないサニーを何事においても優先していきました。
そうすることによって、怖がりで気の優しいサニーの心は安定し、自信を持ち、更に寛大でいられるようです。

そのせいか、ユキがおしっこをしているのに私が気づかないと鼻チョンで知らせてくれるようになり、寄り添って眠ることが多くなりました。

目覚めた時にサニーが傍にいて、その匂いが嗅ぎ取れると表情が和らぎ、ホッとしたように再び眠りにつくユキをみると、
「サニー、ありがとうね」と言わずにはいられませんでした。

ユキに寄りそって眠るサニー
背中と背中がくっついて
ユキは安心して眠る
サニー、ありがとうね

先住犬がいる場合は、同居以前に「相性を見る」ことがもっとも重要です。
不安があったらやめたほうが良いと思います。
それでないと、双方が大きなストレスを抱え込むことになり、後々ヤキモチから争いが起こったり、時には大怪我をしたりすることがあります。

後に、もう1頭合流するのですが、サニーを優先するという姿勢は変わることはありません。
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# by yukiba20 | 2004-08-20 10:14 | 盲導犬 引退犬 ボランティア | Comments(1)

自称犬小屋?に住む盲導犬の引退犬で天使になっちゃったユキばぁとアリサ、とキャリアチェンジ犬サニー&家庭犬ルナ・海と一緒に暮らすワンコのかあさんです。(絵は小山るみこさんの許可を得て掲載しています。)


by ワンコのかあさん